サチモスHSUのベースが放つ引力|機材・奏法と現在地を徹底解剖

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サチモスHSUのベースが放つ引力|機材・奏法と現在地を徹底解剖
サチモスHSUのベースが放つ引力|機材・奏法と現在地を徹底解剖
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🎵 サチモスHSUのベースが放つ引力|機材・奏法と現在地を徹底解剖

2010年代半ば、アシッドジャズやファンク、ヒップホップのエッセンスを日本のメインストリームへと鮮やかに接続し、音楽シーンの景色を一変させた6人組ロックバンド、Suchmos(サチモス)。その骨太かつ洗練されたアンサンブルの心臓部として、圧倒的なグルーヴを刻み続けたのがベーシストのHSU(小杉隼太)です。

彼が紡ぎ出すベースラインは、単なる伴奏の枠を軽々と飛び越え、楽曲全体のドライブ感と色気を決定づける主役級の存在感を放っていました。2021年のあまりにも早すぎる急逝から時を経た今もなお、そのベースプレイと音楽的遺産は多くのフォロワーを惹きつけてやみません。本稿では、HSUの経歴や名曲のプレイ分析、愛用機材の徹底検証から、Suchmosの再始動と現在のベース事情まで、プロの視点から丹念に解き明かします。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
  • 要点1:Suchmosのボトムを支えたHSU(小杉隼太)は、名門音大ジャズ科出身の確かな技術とストリートの感性を融合させた稀代のプレイヤー。
  • 要点2:『STAY TUNE』をはじめとする名演の真髄は、派手なスラップ以上に緻密なゴーストノートと「歌う」ジャズベースの音作りに存在。
  • 要点3:2021年の逝去と活動休止を経て再始動を果たしたSuchmos。実力派サポート陣を迎えつつも、HSUのグルーヴは現代の音楽シーンで色褪せない金字塔として輝き続けている。

【天才の軌跡】SuchmosのベースHSU(小杉隼太)の経歴と音楽的ルーツ

Suchmosのグルーヴマスターとして知られるHSUこと小杉隼太(こすぎ はやた)は、神奈川県茅ヶ崎市・横浜市周辺のカルチャーを背景に育ちました。彼のベースプレイの土台にあるのは、幼少期からの音楽環境と、名門・洗足学園音楽大学ジャズコースで培われたアカデミックな音楽理論です。

大学時代にジャズの洗礼を受け、ウォーキングベースや複雑なコードボイシングへの理解を深めた彼は、ストリート発のヒップホップ/ジャズ/ファンクバンドSANABAGUN.のオリジナルメンバーとしても活動を開始。路上ライブで鍛え上げられた強靭なタイム感と、観客を一瞬で踊らせるダイナミズムを体得していきました。

そして2013年、幼馴染や地元の仲間たちとともにSuchmosを結成。ロックバンドのフォーマットでありながら、JamiroquaiやD'Angelo、Marvin Gaye直系のブラックミュージックを自然体でブレンドしたサウンドは、HSUのしなやかで図太いベースラインがあってこそ成立したものでした。インディーズ期から一気に2019年の横浜スタジアム単独公演(動員3万人)へと駆け上がった足跡は、日本のバンドシーンにおけるリズム隊の重要性を決定的に再定義した軌跡でもあります。

当時のメディア報道・掲載写真
【検証資料 1】当時のメディア報道・掲載写真(出典:読売新聞)

【名演の真実】『STAY TUNE』のベースライン特徴とスラップ奏法の誤解を解く

2016年にHonda「VEZEL」のCMソングとして起用され、社会現象的な大ヒットを記録した『STAY TUNE』。イントロの第一音から聴き手を掴んで離さないあのフレーズは、日本のポップミュージック史に残る名ベースラインとして語り継がれています。

しかし、ネット上の演奏解説や初心者コミュニティでは、この曲に対して「強烈なスラップ奏法(チョッパー)が主体の曲」という誤解が散見されます。楽曲のアンサンブルを精密に解析すると、真の凄みは別の次元にあります。

イントロやサビ裏で耳を引くオクターブのアプローチにおいて、HSUは親指のサムピングと人差し指のプリングを効果的に交えていますが、ヴァース(Aメロ・Bメロ)の骨格を担っているのは、強弱のコントロールを極めたツーフィンガー(指弾き)です。特に注目すべきは、音と音の隙間に緻密に配置されたゴーストノート(左手のミュートによるアタック音)の存在です。音を鳴らさない「休符」と「アタック」の配置によって、ドラムのスネアとハイハットの間に絶妙なポケット(心地よい揺らぎ)を生み出しています。

さらに、楽曲後半に向けてドライブ感を高めるウォーキング風のラインや、ペンタトニックにとどまらないドリアンスケールを意識したノート選びなど、ジャズの素養に裏打ちされたフレージングが随所に散りばめられています。単に派手なテクニックを見せびらかすのではなく、「ボーカルYONCEの歌とメロディを最大限に踊らせる」ための引き算と足し算が、あの洗練されたサウンドを生み出していたのです。

【愛用機材と音作り】HSUサウンドを再現するジャズベースと足元の秘密

HSUが鳴らしていた、芯が太くありながらアンサンブルの中で決して埋もれない極上のトーン。その音作りの核となっていたのは、トラディショナルなジャズベース(Jazz Bass)スタイルへの強いこだわりでした。

メイン機としてステージに立ち続けたのは、1960年代製ヴィンテージのFender Jazz Bassや、国産ハイエンド工房が手がけたMomose Custom Craft Guitarsのジャズベースタイプです。パッシブ特有の芳醇なミッドレンジ(中音域)と木材の鳴りを極めて大切にしていました。

機材カテゴリー主要愛用モデル・仕様一般的な市場相場・目安サウンド傾向・役割の評価
メインベースFender 1960s Vintage JB / Momose JBタイプ25万〜150万円以上(年代による)粘りのあるローミッドと指先のニュアンスを余すところなく拾うレスポンス。
プリアンプ・DIInner Bamboo Bass Instruments D-II 等8万〜12万円前後原音を損なわずに超高解像度で押し出し、PA席・レコーディングに太い信号を供給。
アンプヘッドAmpeg SVTシリーズ / Aguilar / Markbass15万〜35万円前後真空管ならではの太いサチュレーションと、大音量でも破綻しないタイトな低域。
弦・セッティングニッケルラウンド弦(標準ゲージ)、やや低めの弦高2,500〜4,000円/セット適度なアタック感とフィンガリングの滑らかさを両立。トーンは絞り気味で運用。

足元のペダルボードは過剰なエフェクターで埋め尽くすのではなく、プロスペックのアウトボード/プリアンプとして評価の高いInner Bamboo Bass Instruments(インナー・バンブー)のD-IIなどを採用。原音の太さをそのまま活かしつつ、コンプレッサーで音の粒立ちを自然に整えるアプローチを徹底していました。アンプのトーンコントロールにおいても、ハイ(高音域)を過度に強調せず、ローミッド(250Hz〜500Hz付近)を豊かに押し出すことで、バンドの重心をどっしりと支えていたのです。

活動歴および当時の関連ビジュアル記録
【検証資料 2】活動歴および当時の関連ビジュアル記録(出典:fmicassets.com)

一般に知られていない盲点とネットの誤解|奏法コピーで挫折する理由

多くのベーシストがSuchmosの楽曲をコピーしようとする際、市販のTAB譜(タブ譜)通りにポジションを押さえているにもかかわらず、「なぜか原曲のようなノリが出ない」「平坦でダサい演奏になってしまう」という壁にぶつかります。そこには、譜面化できない演奏技術の盲点が存在します。

第一の盲点は、「右手のピッキング位置のダイナミックな移動」です。HSUは曲のセクションや求めるトーンに応じて、リアピックアップ寄りの硬質なアタックから、フロントピックアップ寄り〜指板エンド付近のウォームで太いタッチまで、ピッキング位置を頻繁にコントロールしていました。『MINT』のようなメロウな楽曲では指の腹を使って深く弦を捉え、『YMM』のようなファンキーなトラックでは指先でアタックの輪郭を際立たせています。

第二の盲点は、「レイドバック(後ノリ)と推進力の絶妙な共存」です。Suchmosのリズムセクションは、ドラムのOK(大原魁生)のスネアとHSUのベースアタックがジャスト〜わずかに後ろに位置しつつも、フレーズ全体の重心は前へ前へとグルーヴしていく独特の推進力を持っています。単にメトロノームに正確に合わせるだけの演奏では、彼が醸し出していた「都会的な気だるさと熱狂」を再現することはできません。

【病魔との闘いと別れ】HSUの急逝・死因と遺された圧倒的なレガシー

Suchmosがスタジアム級のバンドへと飛翔し、さらなる世界展開が期待されていた最中、予期せぬ困難が訪れます。2019年6月、HSUは体調不良のため緊急入院し、腫瘍摘出手術を受けることとなりました。これに伴い、出演予定だったアジアツアーの一部などがキャンセルを余儀なくされました。

手術とリハビリを経て、同年9月の横浜スタジアム公演で見事にステージ復帰を果たし、3万人のオーディエンスの前で魂のプレイを披露。しかし、バンドは2021年2月に「修行期間」としての一時的な活動休止を発表します。

そして2021年10月、公式よりHSUこと小杉隼太の逝去(満32歳)という痛恨の事実が発表されました。報道各社および関係者への発表において具体的な死因の詳細は公表されていませんが、病魔と闘いながら最後まで音楽への情熱を燃やし続けた彼の姿勢は、多くのアーティストやファンに計り知れない衝撃と深い悲しみをもたらしました。

SNSや音楽コミュニティでは「彼がいなければ日本のポップスにこれほど豊かなベースグルーヴは根付かなかった」「ベーシストとしての価値観を根本から変えてくれた」といった追悼の声が溢れ、その功績の大きさが改めて浮き彫りとなりました。

公の場での発言・インタビュー報道記録
【検証資料 3】公の場での発言・インタビュー報道記録(出典:bassmagazine.jp)

【2026年最新】Suchmos再始動の動向とサポートベーシストをめぐる現在

HSUの旅立ちから時を経て、Suchmosのメンバーたちは個々のソロプロジェクトやプロデュースワークを通じてそれぞれの音楽性を研ぎ澄ませてきました。

そして迎えた再始動のフェーズにおいて、最大の焦点となったのは「HSUのベースパートを誰が担うのか」という点でした。Suchmosのライブや音源制作においては、HSUへの深い敬意を共有する国内屈指のトップセッションベーシスト陣がサポートメンバーとして参加しています。

代役という形ではなく、HSUが築き上げたアンサンブルの哲学を継承しつつ、新たな息吹を吹き込むサポート陣のプレイは、オールドファンからも温かい称賛をもって受け止められています。2025年に開催された横浜アリーナワンマン公演(『The Blow Your Mind TOUR』)をはじめとする大規模ステージでも、ステージ中央奥には常にHSUの魂が存在しているかのような、圧倒的な一体感が会場を包み込みました。

【プロの結論】HSUのベーススタイルから学ぶべき音楽的教訓とプレイヤーへの指針

音楽評論およびプレイヤー指導の現場から導き出される、HSUのベーススタイルに対する結論は明確です。

▼ HSUのスタイルを徹底的に研究すべき人:

  • ルート弾き中心の演奏から脱却し、メロディアスでアンサンブルを牽引するベースラインを学びたいプレイヤー
  • ネオソウル、R&B、ファンクをJ-POPやバンドアンサンブルへ昇華させる実践的なアレンジ力を身につけたい人
  • 高額な機材やエフェクターに頼る前に、指先のタッチとピッキングニュアンスで音色を作り分ける基礎力を高めたい人

▼ 初心者が注意すべきポイント(おすすめできない練習法):

  • 『STAY TUNE』などの派手なスラップの形だけを真似し、ゴーストノートや休符のコントロールを軽視すること
  • リズムのタメ(レイドバック)を意識しすぎるあまり、単なるテンポの遅れ(リズムのモタり)に陥ってしまうこと

まずはシンプルな16ビートのシャッフルやファンクビートを用い、メトロノーム裏拍でのトレーニングを重ねること。それこそが、HSUが体現していた「揺るぎないストリートのグルーヴ」へと近づく唯一無二の王道です。

【サチモス ベース】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:Suchmosのベーシスト・HSUの本名と経歴は?
A1:本名は小杉隼太(こすぎ はやた)です。1989年生まれ、洗足学園音楽大学ジャズコースで学び、SANABAGUN.およびSuchmosのベーシストとしてJ-POPシーンにブラックミュージックのグルーヴを浸透させた中心人物です。

Q2:HSUの死因は公式に発表されていますか?
A2:2021年10月に逝去(享年32)が発表されましたが、公式発表において具体的な病名や死因の詳細は明かされていません。2019年に腫瘍摘出手術を受けて闘病していた経緯があり、ファンや関係者の間では静かにその冥福が祈られ続けています。

Q3:『STAY TUNE』のベースを弾くためのコツは何ですか?
A3:スラップの親指・人差し指のコンビネーションだけでなく、左手ミュートによる「ゴーストノート」の粒立ちと、Aメロなどの指弾きセクションにおける音の長さ(テヌートとスタッカートのメリハリ)を正確にコントロールすることが最大の鍵です。

Q4:HSUの音作りを再現するために最も重要な要素は?
A4:パッシブのジャズベースをベースに、ミッドレンジを削りすぎないアンプセッティングを行うことです。派手なドンシャリ設定にするのではなく、トーンをやや絞り気味にして太いローミッドを確保し、上質なクリーン系プリアンプ/DIで芯のあるトーンを送り出すことがポイントです。

Q5:Suchmos再始動後のベースサポートは誰が務めていますか?
A5:バンドにゆかりの深い実力派ミュージシャン陣がサポートを務めています。固定の正式メンバーを追加するのではなく、HSUへのリスペクトを共有するトッププレイヤーたちが楽曲の世界観を忠実に再現・進化させています。

まとめ:時代を超えて鳴り響くHSUのグルーヴとSuchmosの未来

Suchmosという類まれなバンドの屋台骨であり、2010年代以降の日本のベースカルチャーに計り知れないパラダイムシフトをもたらしたHSU(小杉隼太)。

彼がベースという楽器を通じて表現したのは、小手先のテクニックではなく、「仲間と共に鳴らす音の快楽」と「聴く者の身体を芯から揺らすグルーヴの美学」でした。彼が残した数々の名演と機材へのこだわり、そしてアンサンブルに対する真摯な姿勢は、これからも時代を超えて新たな世代のプレイヤーたちへと受け継がれていくはずです。

再始動を果たし、新たなフェーズへと歩みを進めるSuchmosのサウンドの底流にも、彼が刻んだあの力強く美しい低音が、永遠に鳴り響いています。 (出典: サチモス ベース(Yahoo!ニュース)

サチモス ベース
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